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中之島デリバティブⅡ
9/23に記者会見を実施。受講生の手による取材記事をご紹介します。
ジュリーこと沢田研二は43年前、東京を「空に浮かんだ光の泡」と歌い上げた。そして令和5年、55年ぶりの万博開催を2年後に控えた大阪・中之島に、この島こそが大海原に舳先を向けた巨大な戦艦と信じ続ける艦長と、100年後の未来からやってきた3人の男が現れる。折しも今日、ここ中之島の上空に宇宙探査機「ルーシー」が最接近しようとしている――。
劇作家・演出家、林慎一郎の新作「中之島デリバティブⅡ」は、かつて川が運ぶ砂の堆積でしかなかった大阪の中心地・中之島の歴史へと深く潜行し、はるかな宇宙との交信によって「デリバティブ=未来との取引」を行おうとする試みである。
手旗信号によって「ルーシー」へと送る未来へのメッセージとは何か。
その意味が問われる時、単なるオーディエンスであったはずの観客は、みずからも当事者であることに直面する。
未来に託すたった一文字のカタカナを送るため、地層のごとく堆積した時間軸とともに劇場の外へと踏み出せば、そこには現実の中之島があり、堂島川が流れている。心に秘めた一文字は、果たして「ルーシー」に届くのだろうか。【井上雅惠】
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