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​作品概要

中之島にはかつて「堂島米会所」と呼ばれる場所があった。多くの蔵屋敷が立ち並び、全国から米が集まったこの場所では、米の「現物」取引だけではなく、将来の米の値段も取引された。これが世界にも先駆けた、日本最初の「先物」取引である。「堂島米会所」はその後、大阪株式取引所へと発展し日本の株式市場の一翼を担うが、株式の電子化が進んだ現代、ついにデリバティブ取引専門の取引所となる。Derivative(デリバティブ)とは派生的、副次的を意味する言葉である。先物取引のように、将来の売買についてあらかじめ約束をするデリバティブ取引は利益追求だけではなく、将来のリスク管理の側面も持ち合わせる。この概念は、世界に先駆けて大阪人の知恵が生み出した発明だろう。前回に引き続き、このリサーチパフォーマンスを通じて、中之島から派生(デリバティブ)した大阪の未来を見据えてみようと思う。無線通信のない時代、米の値段は山から山へ旗を振って伝えられたそうだ。我々の時代になっても、まだ未来には無線を飛ばせない。だから、観客のみなさんとともに、未来に向かって旗を振ってみようと思う。これは、上演中に観客のみなさんと移動しながら行うツアーパフォーマンスです。

  林慎一郎

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